部落差別を解決するための政策と経緯
(33年間にわたる同和対策事業の流れ)
1965(昭和40)年 「同和対策審議会答申」
同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。
これを未解決に放置することは断じて許されないことであり、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である。
1969(昭和44)年 「同和対策事業特別措置法」【時限法】
同和対策事業が目的。以後、法律の延長や名前の変更を行いながら、
33年間にわたり対策事業が実施された。
1987(昭和62)年3月「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律
(地対財特法)」
【時限法】
国及び地方公共団体が行う地域改善対策特定事業についてその円滑かつ迅速な実施を図るため、
当該事業に係る経費に対する特別の助成その他国の財政上の特別措置について定めるものとする。
1993(平成5)年 同和地区実態把握調査(総務庁地域改善対策室)
住環境面では一定の改善は進んだが、差別意識や差別事件については、十分な成果が得られていない。
1996(平成8)年「同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本方向について」
(地域改善対策協議会意見具申)
同和問題は過去の課題ではない。この問題の解決に向けた今後の取組みを人権にかかわるあらゆる問題の 解決につなげていくという、広がりをもった現実の課題である。
これまでの成果を土台とし、従来の取組みの 反省を踏まえ、未来に向けた新たな方向性を見極めるべき時に差しかかっている。
2000(平成12)年12月 「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」
人権の尊重の緊要性に関する認識の高まり、社会的身分、門地、人種、信条又は性別による不当な差別の発生等の人権侵害の現状その他人権の擁護に関する内外の情勢にかんがみ、
人権教育及び人権啓発に関する施策の推進について、国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、必要な措置を定め、もって人権の擁護に資することを目的とする。
2002(平成14)年3月 特別措置法の失効
「人権教育・啓発に関する基本計画」策定 総合的な人権教育が進められるが、部落問題学習の取組みが形骸化しているという批判もある。
2016(平成28)年4月「障害者差別解消推進法」
国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的。
2016(平成28)年6月「ヘイトスピーチ対策法」
「特定の人種や民族への差別」をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)の抑止・解消を目的。
2016(平成28)年12月「部落差別の解消の推進に関する法律」【恒久法】
同和地区の有無に関わらず、部落差別を解消するための教育及び啓発の推進が重要であり、部落問題に対する 知的理解と人権感覚を高める取り組みが求められている。
部落差別の解消の推進に関する法律(平成28年法律第109号)
(目的)
第一条 この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って
落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念のっとり、
部落差別は許されないものであるとの認識の下にこれを解消することが重要な課題であることに鑑み部落差別の解消に関し、
基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、相談体制の充実等について定めることにより、
部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的とする。
(基本理念)
第二条 部落差別の解消に関する施策は、全ての国民が等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、
部落差別を解消する必要性に対する国民一人一人の理解を深めるよう努めることにより、部落差別のない社会を実現することを旨として、行われなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、部落差別の解消に関する施策を講ずるとともに、地方公共団体が講ずる部落差別の解消に関する施策を推進するために必要な 情報の提供 、 指導 及び 助言を行う責務を有する。
2 地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、部落差別の解消に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとする。
(相談体制の充実)
第四条 国は、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るよう努めるものとする。
(教育及び啓発)
第五条 国は、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、 部落差別を解消するため、 必要な教育及び啓発を行うよう努めるものとする。
(部落差別の実態に 係る調査)
第六条 国は、部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、地方公共団体の協力を得て、部落差別の実態に係る調査を行うものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。